リハビリプログラム 膝立ち運動
リハビリ2024-11-27
櫻訪問リハビリテーションの櫻本でございます
今回は「膝立ち運動(ニーリング)」についてです❗️
高齢者・下肢切断・片麻痺などなどリハビリの現場ではよく使われる膝立ち運動ですが、足部が地面についていないという事が最大のポイントです
そんなポイントを踏まえながら、リハビリの効果などをお話していければと思います🙆♂️
目次
膝立ち位の特性
先に少しだけ触れましたが、膝立ち運動の特性では…
・足部が地面に着いていない為、足関節の影響を少なくできる
・重心位置が支持基底面が前縁に近い
・体幹部からの動きを可能にする
一つ一つ説明していきましょう❗️
◯最大のポイントといった「足部が地面についていない」のは足関節の影響を少なくできる
→膝立ち位では、膝関節を屈曲した状態で股関節をコントロールする事ができ、選択的に股関節伸展を促通するために有益な姿勢と言える
◯重心位置が支持基底面が前縁に近い
→膝立ち位は膝屈曲90°屈曲位、上半身直立位で上肢を体側につけた姿勢と定義。支持基底面が両下腿で形成され、重心線の落ちる位置が支持基底面の前縁に近くなっているため、バランスは不安定になっている。そのため、バランス訓練に用いる事ができる
◯体幹部からの動きを可能にする
→膝立ち位では、膝関節・足関節の影響を除く事ができるので強制的に体幹部からの動きを可能にでき、上半身と下半身の筋肉が連動する運動連鎖が期待できる
膝立ち位の筋活動
「サルコペニアと筋肉と指輪っか」で抗重力筋の話に触れていますが、立位と膝立ち位では少し筋活動が違います🤔
立位の時の抗重力筋の働きの重要度は
ヒラメ筋と脊柱起立筋の重要度が高いです
膝立ち位となると、前脛骨筋と下腿三頭筋の影響を除き、前述した重心線位置が前方に位置する為、大臀筋と脊柱起立筋といった伸展筋の筋活動が高まります
前述している、足部が地面についていない事の特性が筋活動に影響してきます❗️
余談ですが、膝立ち位で膝から上を30°後傾すると体幹部の筋活動が高まりインナーマッスルを鍛える事ができるなど肢位によって鍛える筋肉を変える事もできます🙆♂️
膝立ち運動実践!
運動方法を説明しながら実践していきましょう❗️
【安静膝立ち位】
図の様にお尻が後ろに出ない・腰を反りすぎない状態で維持します。ふらつきがあれば椅子や壁を利用して支えにして下さい。
この状態を維持するのだけでも、不安定なバランスを保とうとする事により前述した大臀筋や脊柱起立筋、大腿四頭筋、体幹筋を使う事ができます。
※片麻痺・切断の方には荷重トレーニングやバランス訓練に用いる事ができます。
※つま先を立てる事で足底のストレッチにもなります。足関節の背屈制限のある方など、足趾が上がりづらい人にも効果的。片麻痺の人の多くは足底の痙性筋の緊張が強いです。
【膝立ちスクワット】
安静膝立ち位からお尻をかかとにつける様に座り、また身体を伸ばしてきます。
通常のスクワットより腰を痛めづらく、体幹と下半身を繋ぐ腸腰筋に刺激が入るため立位になった時に軸がしっかりします。今後、歩行へ移行する際にはぜひ使いたい種目になっています。
※お尻を下げていく時に太ももの前面に突っ張った痛みがある時はふくらはぎの上に枕やクッションを置いてやってみましょう
※スクワット中に腕の上げ下げを一緒に行う事により脊柱の伸展方向への可動域拡大も期待できます
※スクワット中に腕の上げ下げの際に体幹部のひねりを加えるアレンジも可能
【ハーフニーリング(片膝立ち運動)】
安静膝立ち位から片足を前に出し、左右交互に出してきます。
このステップ運動を行うと立位の時に比べ大腿直筋・大臀筋が優位に働き、片麻痺の方の両下肢の分節運動練習になります。大腿直筋のパフォーマンスが上がると姿勢改善などに寄与してきます。
※ふらつく事があれば椅子や壁を利用する。術者が前方や側方から支えて実施する
※膝に痛みがある場合は負荷量に注意したい
【膝立ち歩き】
安静膝立ち位から足を交互に出して前に歩いていきます。できる人は後ろ歩きもやるとgood
膝歩きの特徴では、骨盤前傾位にあり、骨盤の前後傾・水平回旋角度の変化量が大きく、体幹・骨盤近位筋の筋活動量は計測した多くの筋で有意に大きいと報告がある 。これを踏まえると膝歩きは骨盤の可動性、近位筋の活動性を高める運動として有用であると考えられる。
※片麻痺の方は非麻痺惻下肢へ体重を乗せ浮いた麻痺側を前に出していく。左右へ体重を乗せ、ゆっくり行うと感覚を掴みやすい。
※前後だけでなく、左右の横歩きも行うとより股関節外転筋や体幹部の筋肉へ刺激を入れる事が可能になり、荷重感覚を養う事にも有用
まとめ
足部がついていない事の特性により、股関節周囲の筋肉を選択的に促通する事ができます。また、立って・歩く事を目標にしている方々では四つ這い運動も然りですが、膝立ち運動は欠かせない運動と言えると思います。
股関節周囲の筋肉を促通する運動でかなり一般的に行われています。たかが膝立ちでも、高齢者や機能障害を負った人達ではかなり大変な運動だと思います。
負荷量や膝の痛みに注意しながら、膝立ち運動を実践してみて下さい❗️