車椅子とクッションの種類と選び方
リハビリ2024-05-29
櫻訪問リハビリテーションの櫻本でございます。
車椅子座位姿勢で臀部が圧迫され、痺れや痛みが出てしまう方へクッションの選び方を少しだけXで紹介しました。
普段の移動はシルバーカーや歩行器、杖で移動されている方々でも、長い時間の移動では車椅子を使用するという人は少なくないと思います。
急な入院を余儀なくされADLが著しく低下し、そのまま退院となるとご自宅や施設にご自身の車椅子がないなんて事もあります。
簡単ではありますが、車椅子とクッションの選ぶ基準や種類のご紹介をしようと思います!
目次
- 車椅子のタイプと選び方
- 自走式車椅子
- 介助式車椅子
- ティルト・リクライニング車椅子
- モジュール車椅子
- 車椅子の各種機能
- 肘掛け(アームレスト) 跳ね上げ機能
- 足置き(フットレスト) スウィングアウト機能
- リクライニング 背もたれの角度調整
- ティルト 座面の角度調整
- 車椅子クッションの材質とメリット・デメリット
- ウレタンクッション
- ゲル(ジェル)クッション
- エア(空気)クッション
- まとめ
車椅子のタイプと選び方
自走式車椅子
ハンドリム(手押しハンドル)を使い自走ができる人用
タイヤ横に付いているリムを操作して自走できます。
肘掛け(アームレスト)が跳ね上がる型だと移乗がしやすくなります。
見づらいですが、足置き(フットレスト)も外せる様になっています。
介助式車椅子
ハンドリム操作が出来ないが、足漕ぎは出来るまたは操作が出来ない人用
自走用に比べ、後輪タイヤが小さくなっています。
自走・介助用の車椅子は画像の様に畳んで収納できます。
ティルト・リクライニング車椅子
背もたれや座面の角度変更が出来る車椅子。座位姿勢が保てず、姿勢崩れがある人や長時間の座位姿勢、お尻が痛くなる人用
自走・介助用車椅子より背もたれが長く、頭を預けられるクッションが付いています。
背もたれ・座面の角度調整も可能で後述します。
モジュール車椅子
身体の姿勢やサイズに応じて各種サイズを変更出来る車椅子。車輪の位置の変更や背もたれの貼り具合を調整出来る車椅子
自走・介助用と形は変わりませんが背もたれの後ろにマジックテープが付いており、背中の形に合わせてシーティングが出来ようになっています。
車椅子の各種機能
肘掛け(アームレスト) 跳ね上げ機能
椅子に肘掛けが付いていますが、車椅子にも肘掛け(アームレスト)が付いています。
楽な姿勢で座れるように腕を置く場所があり、移乗する時に邪魔にならないように跳ね上がる様になっています。肘掛けの高さを変更できる物もあります。
足置き(フットレスト) スウィングアウト機能
足置きがないと車椅子移動の時に地面に擦ってしまったり、足が地面に付かない人は尖足位が強調され、足関節の背屈制限を作ってしまいます!ちゃんと足は乗せましょう!
移乗する時も邪魔にならない様に外へ開く様に(スウィングアウト)します。また、足漕ぎする人は外して使用する場合もあります。
フットレストの高さも変更できる物もあるので、足の長さに合わせて調整も可能です。
代表的な機能は上記の2つが多いかと思います。
次はティルト・リクライニング車椅子の機能にいきましょう!
リクライニング 背もたれの角度調整
新幹線の背もたれを倒す問題がありますが、まさにそのリクライニング機能です!
ティルト・リクライニングをどちらも角度をつけていない車椅子を横から見た状態です。
背もたれの角度を変更できます。
座位姿勢が保てない・円背があるなど背もたれに角度をつけると楽に座れます。
また、リクライニングを倒すと腰〜お尻が押されて浅座りになりやすくなるので角度調整が必要になります。
ティルト 座面の角度調整
あまり聞き馴染みがない言葉かもしれません。百聞は一見にしかず!見てきましょう!
ティルト・リクライニングをどちらも角度をつけていない車椅子を横から見た状態です。
わかりますか?
背もたれの角度は変わらずに、座面の角度が上がっています。
お尻・太ももにかかる体重を腰・背中に分散する事ができます。
お尻・太ももにかかる体重を腰・背中に分散する事ができます。座位時間が長くなると、前や左右に姿勢が崩れる方には少し体重や重力を取り除いてあげると上手に座れるようになります。
お尻の前ずれにも効果的な機能になっています。
ティルト・リクライニング機能はハンドルのレバー操作で調整をします。
車椅子クッションの材質とメリット・デメリット
クッションと言うと、ソファーに置いているふわふわな物や人をダメにするビーズクッションを想像しますが、長時間座っていてもお尻が痛くならない・姿勢を保持しやすい・褥瘡になりづらいなど一般的な機能に比べ高性能なクッションになっています。
大まかにはクッションの材質は、ウレタン・ゲル(ジェル)・エア(空気)の3種類になっています。
中にはウレタンとゲル(ジェル)を良いとこどりをしている製品もあります。
ウレタンクッション
メリットは…
・適度な体圧分散(除圧効果)
・比較的安価で使いやすいものが多い
・低反発から高反発まで幅広い商品がある
デメリットは…
・水分や日光で劣化しやすい
・薄い物だと、お尻が底に付いてしまう
・時間経過と共に徐々に劣化してしまう為、製品によって定期的な交換が必要な事も
安価で使いやすい材質なのでオーソドックスなクッションと言えるでしょう!
ウレタンフォームがおすすめな人
・自立度が高い人
・足漕ぎ自走が出来る人
・座り直しができる・褥瘡リスクが低い人
ゲル(ジェル)クッション
メリットは…
・体圧分散性(除圧効果)に優れて、お尻が痛くならない
・長期使用しても材質が劣化しない
デメリットは…
・通気性に難あり、蒸れやすい
・クッションが重たい
実演販売で一時期有名になったクッションは記憶に新しいかもしれません。実はゲル(ジェル)素材を使用しています。
気づかないうちに使用しているかもしれませんね。
ゲル(ジェル)クッションがおすすめな人
・お尻に痛みがある人
・座っていて、ずり落ちしてしまう人
・自分で座り直しができない人
エア(空気)クッション
メリットは…
・体圧分散性(除圧効果)が特に優れている
・密閉した空気層でお尻を浮かせ、底つきを防ぐ
・長時間使用しても変形に強い
デメリット…
・空気管理の定期的なメンテナンスが必要
・座位が不安定に感じる
・空気圧・空気量によって効果が左右される
・価格が高い
エア(空気)クッションは体圧分散性が最も高いのが特徴ですが、エア(空気)の調整が難しい!
エア(空気)クッションがおすすめな人
・褥瘡リスクが高い人
・自分で座り直しができない人
◎体圧分散性(除圧効果)は、ウレタン→ゲル→エアの順に効果が高くなっていきます。
ウレタン・ゲル(ジェル)の良いとこどりをしているものでは、異なる材質を組み合わせ欠点を補う様に工夫しています。また、座面の形状にも注目して下さい!身体にフィットしやすい形状にデザインしている製品もあり、長時間座っていても疲れない・お尻が痛くならない・前ずり防止など色々とあります!
※車椅子クッションには向きには注意!
構造や形状によって使用する向きがあります(裏表・前後左右)間違った向きで使うと、効果が発揮できなかったり、逆効果になります!例えば、前ずり防止で前が高く・後ろが少し低いクッションを前後逆で使用すると逆に前ずりし滑落する危険があります!使用する前には、クッションの向きを確認して下さい。
※クッションカバーはマメに洗濯を!
褥瘡を予防するには、お尻を清潔に保つ事も重要です!クッションカバーはマメに洗濯しましょう!
クッションカバーだけ購入ができます。汚れや定期的な洗濯の時に替えも用意しておく事も可能です。
まとめ
オーソドックスな車椅子やクッションをご紹介しました!
中には、身長の低い人用の低床(座面が低い)車椅子や立つと自動でブレーキが掛かる車椅子もあります。
色々な種類があって驚いた方もいらっしゃるかもしれません。見た事はあるけど、詳しく知らなかったなど車椅子を使用している人への理解や選ぶ時の参考になれば嬉しいです。
怪我やご病気の退院後・加齢に伴い、お身体の状況が変わり福祉用具が必要になった時、機能や材質の組み合わせで残された身体機能を活かす事もできます。
お身体の状態だけでなく、生活様式に合った福祉用具の選定が重要になります。
他にもまだまだ、色々な種類の車椅子・クッションがありますので興味のある方は検索してみると驚きや発見があるかもしれません!
櫻訪問リハビリテーションでは、退院後のフォローや福祉用具の選定・居室環境の改善も承っております!
「起きる・座る・立つ・歩く」ご自身の力で少しでも生活を送りたいと思っている方、理想の自分へ近づきたいと思っているそのお気持ちに応えたい思っています!
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