後ろ歩きリハビリの驚くべき効果
リハビリ2025-03-26

櫻リハの櫻本でございます。今回は過去にX(旧Twitter)で投稿した「後ろ歩き」について❗️
リハビリテーションのプログラムの中に取り入れていますが、皆さんはあまり馴染みはないかも知れません🤔
従来の前方歩行に加えて後ろ歩きを取り入れるリハビリテーションが注目されており、膝の安定性向上やハムストリングスや殿筋、腰などの強化のみならず、認知機能にもポジティブな影響を与えることが示されています。
膝の不安定やO脚(内反膝)にお悩みの方、高齢者施設の利用者様、ご家族、施設職員の皆さまにとって、膝周囲の筋力やバランス、そして認知機能の改善は、日常生活の質向上、転倒予防に大きく寄与します。
前方歩行と後ろ歩行の筋活動の違いをはじめ、後ろ歩きがどのように筋バランスを整え、大腿四頭筋を強化し、さらには認知機能の向上に寄与するのか、を解説していこうと思います❗️
目次
前方歩きと後ろ歩きの違い
【前方歩行の特徴】
大腿四頭筋の活動
前方歩行では、歩行時の大腿四頭筋は、膝関節の安定化や着地時のショック吸収に寄与し、特に膝の伸展時に重要な役割を果たします。内側広筋(VMO)は膝蓋骨の安定性を保つために寄与し、バランス維持に必要な支持力を提供します。
下腿三頭筋の貢献
足が地面に接地する際、腓腹筋やヒラメ筋といった下腿三頭筋が主に活動し、歩行時の駆動の要となり、足首のプッシュオフをサポートします。
【後ろ歩行の特徴】
大腿四頭筋の再活性化
後ろ歩きでは、前方歩行で主に使われる筋群とは異なる負荷パターンが生じ、特に内側広筋への刺激が強くなります。これにより、膝前面の安定性が向上し、O脚の進行防止に寄与します。
ハムストリングスと臀筋、腰の筋肉の活性化
後ろ歩行では、ハムストリングスがより大きく働くため、膝の後部安定性が高まります。また、臀筋や腰の筋肉など通常の前歩きでは使わない筋肉を集中して使うため、筋肉のバランスや筋力の全体的な向上に寄与し、同時に、前脛骨筋も活発になり、足首やすねの筋力向上と下肢全体の協調性が改善されます。
これらの違いにより、後ろ歩きは単なる運動の変化にとどまらず、新たな筋肉の使い方を促進し、日常生活で不足しがちな筋群の強化やバランスの再構築に貢献する点が注目されています。
後ろ歩きによる筋バランス改善と転倒予防

【筋バランスの改善】
膝関節周囲のアンバランスの改善
膝の内側の筋肉が弱化し、外側の筋肉が過緊張すると、膝関節は内反(O脚)状態になりやすくなります。後ろ歩きは、内側広筋や内転筋群を含む内側の支持筋群を強化するため、外側の過緊張による偏った筋力のバランスを改善する効果が期待され、変形性膝関節症患者が、従来の理学療法に加えて後ろ歩きを取り入れたことで、大腿四頭筋の筋力に改善がみられています。
【転倒予防】
協調性の向上
後ろ歩きにより、前向きな動作では使用しにくい筋群が新たに刺激されることで、バランスと動きや動作、体の位置を感じ取る能力が向上するため、バランス能力が改善し転倒予防や転倒リスクが減少することが期待できます。
後ろ歩きによる認知機能向上への効果

【認知機能と歩行の関連性】
複雑な動作と脳の活性化
後ろ歩きは、前方歩行と比べて視界が制限され、体の位置や空間の認識に対してより多くの情報処理が要求されます。これにより、グローバル認知機能(注意、記憶、言語流暢性、言語、視空間認知能力)は前歩きではなく、後ろ歩きに関連付けられていると考えられています。
脳の柔軟性促進
複雑な動作や新しい運動パターンを学ぶことは、脳の可塑性を高め、認知機能の改善につながるとされています。後ろ歩きは、新しい動作パターンを強制されるため、脳の刺激となり、認知トレーニングとしても効果が期待されます。
エネルギー消費量の違い

【後ろ歩きのエネルギー消費】
エネルギー消費の増加
研究によれば、後ろ歩きは前方歩行に比べ、運動効率が低いためエネルギー消費量が高いと報告されています。これは、後ろ歩きにおいては通常使用されない筋肉がより活発に働くほか、動作の不慣れさやバランスを保つための追加の努力が必要となるためです。
例えば、ある実験研究では、同じ歩行速度で比較した場合、後ろ歩きは前方歩行に比べ20~30%エネルギー消費が高いとされたと報告されています
心肺機能の向上
エネルギー消費が高いということは、適切な負荷として心肺機能のトレーニング効果も期待できることを意味します。後ろ歩きは、軽度から中程度の有酸素運動として、心肺機能の強化や全身の持久力向上に寄与する可能性があります。
実践上のポイント
環境整備
転倒リスク
運動器疾患などを有する方は転倒、怪我のリスクを考慮しなくてはいけません。また、高齢者はバランス能力や認知機能の低下が考えられるため、手すりや平行棒を使用し安全に配慮して実施して下さい。
正しいフォーム
体幹が前傾した姿勢では後ろ歩きをすると効果が期待できなくなります、初めは正しいフォームを意識してゆっくり行いましょう。
まとめ
前方歩行と後ろ歩きでは、使う筋肉と認知的要求のレベルが異なっています。前方歩行では、主に大腿四頭筋や股関節屈筋など体の前方の筋肉を使い、後ろ歩きでは、主に大殿筋やハムストリングスなど体の後方の筋肉を使います。
異なる筋活動を促すことで、筋バランスを改善し、O脚(内反膝)の進行防止や膝の安定性向上が期待でき、認知機能の向上も期待できるため、高齢者施設やリハビリテーションの現場で有効な運動療法として注目されています。
膝の不調にお悩みの方や、日常生活の動作改善を目指す方は、専門家のアドバイスを受けながら、後ろ歩きリハビリを取り入れてみてはいかがでしょうか?
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櫻訪問リハビリテーションでは、高齢者施設のご入居様や施設様の個別リハビリテーション、施設サービスの向上のお手伝いをさせて頂きます。通常のリハビリテーションに加え、後ろ歩きは転倒予防やご利用者様のADLの向上に寄与します。詳しいご説明やご相談はお気軽にお問い合わせ下さい🙇♂️
【引用・参考文献】
1)Yoo et al. (2014)
「The Effect of Backward Walking Training on Muscle Strength and Gait in the Elderly」
2)Miyamoto et al. (2015)
「Backward Walking and Its Impact on Lower Extremity Strength and Balance in Older Adults」
3)Sakuma & Kubo (2017)
「Effects of Backward Walking on Lower Extremity Muscles in Elderly Individuals」
4)Hirano, T. et al. (2013). “Effects of Backward Walking on Executive Functions in Older Adults.” Journal of Gerontology & Geriatric Research, 2(1), 45-52.